(生け花)様々な紅葉そして冬支度を生ける
11月7日(土曜日)は立冬でした。そしてその言葉通り、冬の始まりを感じさせるかのように週が変わった(立冬を過ぎた)今週は朝夕の冷え込みが強まってきました。
暦の上では季節はもう冬ですが、秋から冬への移り変りを感じるのがこの時期。
そんな季節の移り変りを、そして本格的に冬支度を始めなさいよとも言っているかのような生け花を、いつのも通り杉本幸子さんが野山から運んできてくれた季節“トウダンツツジ”の紅葉で表し、
今回は“みまちゃんネル”さんの取材も受けながらいけて下さいました。
常緑(針葉)樹の間から、「あの辺りは落葉樹だったのだ」と教えてくれるのが、この季節の福山地区の山々の風景。
カイズカイブキの変わらぬ緑を被う“トウダンツツジ”の紅葉がそんな風景も思い浮かばせてくれて、控えめに咲いている可愛らしい菊の花が、更にこの季節を感じさせてくれています。
いけて下さったトウダンツツジの紅葉は様々。
これから紅葉が始まりそうな黄色いもの、半ば紅葉したもの、すっかり紅葉した赤いものと、樹木の種類によって変わる様々な色の紅葉、今の季節の外で見られる景色を、トウダンツツジ一つで思い浮かべさせてくれています。
そして、私が撮った写真では伝えきれないその美しさだけではなく、もう一つ。
葉が落ちて枝だけになったものもいけられているのは、
冬支度の時期が来たことも知らせて(表してくれて)いるように感じます。
葉の役割は光合成をおこなって栄養分を作り出すこと、冬が近づき日光が少なくなり、気温が低くなって条件が悪くなり、葉が作り出すエネルギーよりも、葉を維持するエネルギーの方が上回ってくると、木は葉に栄養分を作り出す役割を終えさせて、葉が持っている栄養分を回収し始める。それが紅葉の始まりという事のようです。
本格的来な冬が来る前に葉を落とし、枝や幹にエネルギーを蓄えて冬を越す準備をする。冬支度を始める。
今の季節の紅葉の美しさと共に、冬を前にした木の生き方(季節)も表し、そして「冬支度を始めなさいよ」と呼び掛けてくれているような、そんな生け花です。
※みまちゃんネルでの放送は、今週の金曜日(11月13日)です。是非ご覧になって下さい。
写真では分からない、伝える事が出来なかったものを見て、感じる事が出来ます。